手のひらを使って圧迫する手法は、広く使われるポピュラーテクニックのひとつです。広く面で捉えてじわーっとした感じを出すのに適しています。タイ古式マッサージでは、母指でセンを圧迫した後にこの手法が多く用いられます。左右の手を重ねて強い圧迫を行ったり、交互にウォーキングしたりします。手のひらと一口にいっても、全体を広く使ったり、手根(手首よりの部分)を使ってセンをとらえたりできます。左右への微妙な傾け方で筋肉を的確にとらえたりツボに相当する部分にアプローチをすることもできます。こういった微妙な手の使い方には個性が発揮される部分でもあり、簡単な手法にも奥の深さがあります。
母指を使った圧迫と同じように、レシーバーの身体の上に置いた手のひらにセラピスト自身の体重を伝えることが基本です。まるで赤ちゃんがはいはいするように、四つんばいになって体重を伝えていきます。決して手の力で押すのではありません。手は常にレシーバーの身体の状態を感じ取るための感覚器であることを忘れないで下さい。セラピストは腰を入れて重心を前方に移すことで、より手に圧がかかっていくのを感じるでしょう。いずれにしても、圧の基本は、弱→強→弱です。最初は弱い圧迫でならし、次に強い圧迫で深部にまでアプローチをし、さらに弱い圧迫で緊張をとるというのが一連の流れと考えるのがいいでしょう。
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