■バンコクスタイル(ワットポー式)
バンコクにあるワットポー(ポー寺)がタイ古式マッサージの総本山として知られていますが、現在のワットポータイマッサージスクールは、ワットポー(ポー寺)に隣接する私立のタイマッ
サージスクールです。ワットポー(ポー寺)に伝えられた古いマッサージそのものではなく、1991年にワットポーのプリーダ理事長が18人の講師と共に開発した比較的新しいスタイルです。タイ人の中では、ワットポーのプリーダ理事長はビジネスが上手な人としてちまたで知られているようです。
では何故ワットポーがタイ古式マッサージの総本山なのでしょうか?ワットポーは、1788年、ラーマ1世によって建 てられたバンコク最古の寺院で、正式名称は、『ワット・プラ・ チェート
ゥ・ポン・ラーチャ・ ワ・ララーム』といいます。境内にはタイ国王の墓がある皇室系の由緒正しいお寺なのです。ラーマ1世は、当時、寺の医者や、民間の医者を集めて、タイハーブやタイ
伝医学の知識を集め、この壁に刻ませたものが現存しています。また、ラーマ1世はワットポーの境内にルーシーダットン像を土で作らせ金箔を貼り付けたのですが、このルーシーダットン像は現存していませんので、いくつのルーシーダットン像が作られたのかは不明です。特に全長46m、高さ15mの巨大な腕枕して寝転がってる仏像が有名でタイ旅行では定番の観光名所にもなっています。
1957年当時、ワット・ポー伝統医学学校が寺院内に設立されましたが、タイマッサージを教えるスクールとしての環境は整っていなかったようです。4年後の1961年、プミポン国王(ラーマ9世)がワットポーを訪問した際に、「タイマッサージは教えていないのか?」という一声から、ワットポーでタイマッサージを広く一般の人々に教えるようになったという経緯があります。ワットポータイ伝統医学校の経営はもともと赤字続きで、当時はタイマッサージの風俗的なイメージをぬぐいきれなかったために、あまり生徒は集まらなかったようですし、タイ伝統医学の厳格なタイマッサージを学ぶことはハードルが高かったのかもしれません。
今でも、タイ伝統医学校とタイマッサージ学校は別の枠組みですが、タイマッサージを単純で、平易で、覚え易くしようというワットポータイマッサージスクールの試みがバカ受けして、第1次タイマッサージブームが到来したようです。これは2000年少し前頃のオリエンタルブームに乗って外国人に先に人気を博したようです。バンコクスタイルは、左右両方の母指を同時に使ってコリを捉えて圧迫をするのが中心で、左右交互にウォーキングするチェンマイスタイルと比較すると、日本の指圧に近いスタイルだと言えます。両母指で圧迫した後に手掌で筋肉を捉えながら圧迫を繰り返しながら、全身が緩んだところで少しづつストレッチングが加わっていくものです。
仰向けから開始して、脚部~腕部。反対側の脚部~腕部と進むまでに約60分くらいかかります。とにかく脚部のエネルギーラインを押していくのに時間をかけて行います。腹部の施術を加える場合にはこのタイミングで15分程度行います。次は横向きです。また脚部のエネルギーラインを圧迫するところから、臀部~背部~腕部~肩部の施術を行い、ストレッチングを行います。次はうつ伏せ姿勢で、また脚部から開始して、臀部~背部でストレッチングです。2度目の仰向けは、ストレッチングが中心でそのまま座った姿勢になるように引き上げます。座った姿勢では、背部~肩部。そしてストレッチで終了。一通り行うと約2時間の時間が必要になります。 |